「生きづらさ」を抱える皆様へ(登戸事件より)

5月 30, 2019 未分類

「生きづらさ」を抱える皆様へ(登戸事件より)

8050センター(旧称8050問題解決センター)川島です。いわゆる「登戸殺傷事件」につきまして、「8050問題の専門家」の立場から、日本中に数千万人いらっしゃる「生きづらさ」を抱えている皆様へ、まずはメッセージを差し上げます。

「生きづらさ」を感じていらっしゃるかたは、遠慮することなく、8050センターにお電話をいただければ、と存じます。なお、当面の間着信のみの場合は折り返しのご連絡を差し上げる場合がございます。

「生きづらさ」は、友人知人に言うことは本当に難しいです。というより、うまく言葉にできない場合も多いです。なぜ、生きづらく感じてしまうか、何が原因で生きづらいのか、答えはその人にしかわかりません。ひとつの正解があって、その答えを言えばいいというものではありません。

私どもは、じっくりとお話をお伺いしてまいります。「あれが原因かも」「これが原因かも」というようなものもたくさんあるでしょう。原因はひとつふたつではありませんし、1時間や2時間で答えを出せるものでもありません。

私どもは、ご相談者さまの味方です。お話をこばかにしたり、「そんな小さなこと」「細かいこと」と言うことは絶対にありません。「細かいこと」「小さいこと」「古い記憶」「誰も覚えていない小さな出来事」「友達にもいえない心のゆらぎ」「死ぬまで誰にも言わず封印しておきたかった経験」「つらさ」そんなものに、「生きづらさ」が隠れています。とても大切なヒントがあります。そうしたものに寄り添って、一緒に考えていくのが私どもの役割です。

「今の自分は、なりたかった自分ではない」「イメージしていた自分と違う」「両親や兄弟の言うようには生きられない」「テレビの人のように生きられない」そういうさまざまな思いで苦しんでいらっしゃる方もたくさんいます。

「相談する相手がいない」「誰に相談してもうまくいかない」「親に相談すると傷つくことしか言わない」「自分で悩んでもぜんぜん結論が出ない」「インターネットで相談しても軽くあしらわれる」そうしたかたは、ハードルが高いとは思いますが、8050センターのメールフォームでメールをいただくか、info★8050.jp (★は@に置き換えて)に捨てアカウントや偽名でけっこうですので、メールをください。

今回、容疑者のかたは「ひきこもり」と呼ばれたことに激昂したという報道もあります。無理ありません。先般内閣府で行われた調査結果の「ひきこもり」に容疑者の方は該当しません。「ひきこもり」には強いマイナスイメージがあります。肉親の方が本人の了解もなしに、不用意に「ひきこもり」としてご相談された、ということに強い憤りを感じるのは無理ないことです。

ただ、フラットに考えますと、ほとんどの年金生活者、年に100万円以下の収入のかた、生活保護のかた、自宅だけで仕事をしているかた(Youtuber、アフィリエイター、文筆業、クリエイターなど)も、状態としては「ひきこもり」です。

内閣府の40歳以上61.7万人以上という「ひきこもり」は実態を表しているものではなく(家事手伝いの女性、時々は働きに出られる人、家族以外の人との会話がある人、65歳以上の人などはのぞいている)実際には、ひきこもり世帯数は300万世帯より多いと考えられます。

全国の世帯数は6000万ですから、20世帯に1世帯はひきこもりということになります。また、ひきこもりの家族は平均3人いますので、日本人の10人に1人はひきこもり問題を家族の問題として抱えているはずなのです。

ですから、ひきこもり問題はとても身近な問題です。誰でもが突然ひきこもりになってしまったとしても、全く不思議がない状態です。なりたくてなる人は本当に少なくて、抜け出せないことでもがいている人も本当にたくさんいます。でも、無理して抜け出さなくてもいいかもしれません。それは一緒に考えていきましょう。

こんなに身近な問題なのに、世の中の人はとても冷たくて、他人事のように評論、評価します。そうした人たちの意見に耳を傾けてはいけません。世の中には他人を思いやるふりをして、自分のいいなりにさせよう、という人も多いのです。

ひきこもり、というレッテルを貼られてしまうと大変なことになる、そんな恐ろしさがあることはよくわかります。どんなにたくさんひきこもりの人がいても、もちろんあなたには関係ありません。あなたはあなたという「特別な存在」です。残念ながらあなたの命を守れるのはあなた自身しかいません。全力で自分の命を守ってください。

ひきこもり関係者の人たちだけではなく、がんばって、がまんして働いているけれどもとにかく生き辛さを感じている人は、さらにその数倍います。今回の事件で容疑者やその家族に対してひどい言葉を浴びせかけているような人たち自身がそうとう生きづらさを抱えていて、その抑圧を他者にぶつけることで解消しようとしているようにも感じます。

日本は本当に生きづらい国です。よく「怨嗟と嫉妬の文化」(えんさとしっとのぶんか)と言う言葉で表現されますが、「文化」などという立派なものではなく、とても恥ずかしい国、情けない国です。国として成立しているのが奇跡かもしれません。

誰にもわかってもらえない、その生きづらさに、私たちは共感します。テレビも新聞も無責任なインターネットも無視してください。また、特に理解しあえないであろう親である場合には注意してください。あなた自身のことを理解し、手伝ってくれる人はどこかにはいます。残念ながら、自分自身の問題は自分自身だけでは答えが出せません。私どもは、あなたの鏡になって、あなた自身があなた自身のことを見られるようにいたします。

どうか命を守ってください。

JICI現代問題研究所

投稿者:JICI現代問題研究所

現代問題研究所WEBマスターです。 ご連絡につきましては050-7109-0369までお願いします

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